はじめてのPPM(プロジェクト・ポートフォリオマネジメント)
みなさまはプロジェクトマネジメントやポートフォリオマネジメントという言葉を聞いたことがありますか?
この言葉がメジャーなのはIT分野においてなのですが、ITに特化したものという訳ではありません。
丸文では製品・サービスを通して、みなさまの業務効率化、見える化をお手伝いしております。
ここではプロジェクト・ポートフォリオマネジメントとはどのようなものかを簡単にご説明します。
1. プロジェクトマネジメントの歴史
プロジェクトマネジメントの歴史は古代からはじまり、米ソ冷戦時代に確立されたといわれていますが、1996年にPMBOK(Project Management Body of Knowledge)がリリースされてから現在の企業活動により多く取り入れ始められたと考えられます。具体的には2000年代からかと思われ、既に四半世紀以上経っているのですが、そのメソッドは常に時代の流れに沿った形に書き換えられており、終わりがありません。(勉強するのも大変です)
2. プロジェクトマネジメントの資格
プロジェクトマネジメントについては色々な資格があります。国家資格であるプロジェクトマネージャ、ITパスポートの他、アメリカのPMI(Project Management Institute)が発行するPMP(Project Management Professional)、一般社団法人 日本PMO協会が発行するPMO(Project Management Office)資格等多岐にわたりますが、いずれも取得には相応の知識と経験が必要となります。
3. プロジェクトマネジメントとは
“プロジェクトマネジメント(project management)とはプロジェクトを成功裏に完了させることを目指して行われる活動のことである。これにはプロジェクトを構成する各活動の計画立案、日程表の作成、および進捗管理が含まれる。 ” (Wikipediaより引用)とあります。
もう少し噛み砕くと、「具体的なゴールに対し、求められた条件(納期、予算)をクリアした上で到達するための活動」といったところでしょうか。様々な企業活動においてゴールを定め、そのゴールに到達することをプロジェクトと呼び、そのために何をすべきかを管理するというのがプロジェクトマネジメントと言えるでしょう。
プロジェクトマネジメントの手法として最も知られているのがウォーターフォール型と言われる手法です。先にあげたプロジェクトマネジメントの手法というよりは、開発手法という方が正しいかもしれません。Water Fall(水が上流から下流に落ちていくこと)をモデルに大まかなフェーズ毎にそれぞれのフェーズにおいて詳細に実施しなければならないタスクを細分化していきます。
要件定義 => 基本設計(概要設計) => 詳細設計 => システム実装・テスト => 単体テスト => 統合テスト
といった形で進んでいきます。基本的に前工程を終わらせてから次の工程を行う手法です。
ウォーターフォール型の開発手法から最近よく取り上げられるのがアジャイル開発手法です。アジャイル開発手法では、同じ工程を何度か繰り返し、その工程についてブラッシュアップを重ねていきます。不確実性が前提に開発が行われるため繰り返しの回数やその開発内容の精度が重要となってきます。ウォーターフォール型とは異なり、前後の工程への依存が少ないことが特長です。
プロジェクトマネジメントにおいては、このような異なるタイプの開発プロジェクトについても、それぞれ適切に管理する必要があります。
4. ポートフォリオマネジメントとは?
ポートフォリオという言葉で最も一般的なことは株式ポートフォリオではないでしょうか?
様々な銘柄の株式を組み合わせて全体の収支を見るということに使われる言葉ですね。
語源のポートフォリオは「札入れ・書類入れ」という意味を持ち、複数のものを一つに収納するものを表します。
企業活動におけるポートフォリオマネジメントとは、3で説明したプロジェクトを1つの冊子とし、複数のプロジェクトを1つのポートフォリオ(書類入れ)にまとめて全体を見る、というという管理手法(=プロジェクト・ポートフォリオマネジメント)です。
5. プロジェクト・ポートフォリオマネジメントとは?
プロジェクトを前出のようにポートフォリオとして管理する手法が、プロジェクト・ポートフォリオマネジメント(PPM)です。プロジェクトを個別に管理するだけでなく、あらゆるプロジェクトを集約し、予算やリソースなどを全体として管理することにより、組織全体の活動を的確に分析し最適化する手法、それがPPMです。
PPMは欧米で1980年代ごろから手法として研究・利用され始め、2000年代に入ってからこのためのパッケージソフトウェアなどもリリースされ広く普及しました。PMIが「The Standard for Portfolio Management」(ポートフォリオマネジメント標準)の初版を2005年にリリースしたことなども、PPMの普及を後押ししたと考えられます。
6. プロジェクト・ポートフォリオマネジメントを行う意義
企業活動において、プロジェクトやポートフォリオを管理する最も大きな意義は「活動全体を可視化し、事業判断に役立てる」ことです。
なんとなく日々の業務をこなして成果を出すことも可能ですが、ツールを使って目標や現状を見える化し、具体的なアクションを策定することで社員各々の業務効率を高め、企業活動を活発にしていきます。
ビジネスにおいて、昔から経営者はPL/BS等のFinancial Reportを元に経営判断を行ってきました。
もちろん、ビジネスにおいての最終判断は数字となるため、この手法は引き続き継続されるべき内容だと考えられますが、PPMの手法を用いて「何故この数字になったのか」という詳細の分析を行っていくことにより、現在の企業活動でボトルネックになっているポイントや今後の企業活動の活性化が期待されます。
7. プロジェクト・ポートフォリオマネジメントのツールとは?
プロジェクトマネジメントを行うために、市場には様々なツール(ソフトウェア)が存在しています。最もポピュラーなものはMicrosoft Excelです。WBS(Work Breakdown Structure)やスケジュール管理、コスト管理、課題管理等にも利用できる万能ツールとして様々な企業・組織で活用されています。
また、Microsoft Projectのようなプロジェクト管理専用のツール、課題管理・アジャイル手法などに特化したものなど、プロジェクトの性質に合わせた様々なプロジェクト管理ツールが存在しています。SaaS(Software as a Service)型のサブスクリプションですぐに利用開始できるツールも増えているので、利用したことのある人も多いのではないでしょうか。これらのツールを使いこなせば、データを可視化し、組織全体で同じ基準でプロジェクトを管理することが可能となります。
しかしながら、ポートフォリオマネジメントを行うにあたっては、各プロジェクトを俯瞰的に管理する必要があります。このような管理はExcelや個々のプロジェクトを管理するためのプロジェクト管理ツールでは不可能、あるいはとても手間がかかってしまいます。多数のプロジェクトのデータをまとめてポートフォリオとするため、それぞれのデータの取り扱い手法、管理手法はデータが同一粒度でまとまっている必要があります。各プロジェクトマネージャが管理しているデータに統一性がない場合、ポートフォリオマネジメントを行うための分析は困難となります。
プロジェクト・ポートフォリオマネジメントに特化したツール(PPMツール)を利用することで、プロジェクトの情報粒度に統一性をもたせ、プロジェクトに関わるあらゆる情報を一元管理することができるようになります。これによって適切なポートフォリオマネジメントを行うことが容易になり、企業活動を最適化し、企業価値を最大化することに貢献します。
木を見て森を見ずという言葉がありますが、ポートフォリオマネジメントはまさに森の管理です。プロジェクト管理ツールは木を見るためのツール、PPMツールは林や森を見ることができるツールという例えが分かりやすいでしょう。
8. PPMツール導入のメリット
PPMツールを導入することで、経営上の分析・判断はもちろん、個々のプロジェクトを管理するツールでは解決できない様々な課題を解決することができます。
・予算、コストを時系列で最適化することができる
たとえば複数のプロジェクトが個別に計画されていると、特定の時期にコストが集中するケースが発生します。PPMツールで一元管理することで、優先度に基づいて計画中のプロジェクトを取捨選択したり、スケジュールを最適化するなどの対策が可能になります。
・リソースの過負荷、不足、余剰などによるリスクやロスを減らすことができる
個別のプロジェクトだけを見ると合理的なリソース配置だとしても、プロジェクト横断的にあるいは組織全体でみると最適でない場合があります。例えば、複数のプロジェクトにアサインされた要員が過負荷になる、社内でタスクをこなすことができる人員の空きがあるのに外部からリソースを調達してしまう、などが考えられます。
PPMツールでリソースの過負荷や空き状況を一目で確認することができれば、従業員の健康/コンプライアンス上のリスクや、リソース余剰の無駄などを削減することができます。
・会議や会議資料作成のための時間を削減できる
プロジェクトマネージャー、部署長、PMO部門などはプロジェクト報告などの会議のために多くの時間を取られている可能性があります。プロジェクトマネージャーにとっては社内会議やステークホルダー向けの報告資料作りの負荷が高く、本来のプロジェクトマネジメントの業務に支障が出るケースもあるかもしれません。
PPMツールを利用すれば、プロジェクトマネージャー、部署長、PMO部門などすべての関係者が最近のデータに基づく情報を共有するため、報告のための会議自体を不要としたり、重点だけを議論することで会議時間を大幅に短縮することができます。また、テレワークや時差勤務などが浸透した昨今のビジネスにおいては、リアルタイムな情報を共有することが会議以上に効果的でスピーディーなコミュニケーション手段になります。
そして、PPMツールに強力なレポート機能が備わっていれば、ステークホルダー向けの報告資料などを数クリックの操作で作成したり、定期レポートを自動出力することが可能になり、プロジェクトマネージャーの業務負荷軽減に役に立ちます。
9. プロジェクト・ポートフォリオマネジメントツール「Clarity」
弊社がご提供するプロジェクト・ポートフォリオマネジメントツール「Clarity」は企業活動の見える化、効率化を促進するツールです。ここまでに挙げたPPMツールの特長を備えており、あらゆる業界・業種の企業・組織にとって有用な製品となっております。
「Clarity」は2000年代初期にリリースされた製品にルーツを持ち、PPMツールにおいて常に世界市場をリードしてきました。丸文では「Clarity」の販売を通じてお客様の業務の見える化を支援しております。
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今後、具体例な現場のケースを例に、プロジェクトの見える化に関する実践的なコラムを掲載していく予定です。記事公開後にメールでの案内を予定しておりますので、ご興味をお持ちの方は以下のお問い合わせフォームに「Clarityメルマガ配信希望」と記入して送信お願いします。