介護支援ロボットとは?機能や役割、導入メリットを解説します
介護の現場では、人手不足や仕事量が大きな課題となっています。課題解決の方法の1つとして、近年注目されているのが介護支援ロボットの導入です。この記事では、介護支援ロボットとは何か、種類や導入メリットなどを解説します。導入手順についてもまとめているため、ぜひ参考にしてください。
介護支援AIロボット Aeolus Robot(アイオロス・ロボット)概要紹介はこちら
AIコミュニケーションロボット Kebbi Air(ケビー・エアー)概要紹介はこちら
お問い合わせはこちら
介護支援ロボットの現状と課題
介護支援ロボットは次第に普及が進んでいるとはいえ、未だ普及率は低いのが現状です。普及が進まない主な原因としては、予算の問題や管理の労力、利用のハードルなどが挙げられます。また、ロボットによる介護では、ホスピタリティが足りないと感じる施設もあります。
しかし、介護支援ロボットを活用してもホスピタリティが失われるわけではありません。介護支援ロボットによって要介護者、介護者の両方の身体的・精神的負荷が軽減され、介護の満足度が高まると考えられます。ロボットへの理解や知識が深まれば、より普及が進むことが期待できるでしょう。
介護ロボットの普及状況
前述したように、介護支援ロボットの普及率はあまり高くありません。公益財団法人介護労働安定センターが行った調査では、【いずれの介護支援ロボットも導入していない】と回答した施設が多い状況にあることが分かりました。
施設の分類 | いずれも導入していない割合 |
訪問系 | 86.2% |
施設系(入所型) | 60.9% |
施設系(通所型) | 85.2% |
居住系 | 78.9% |
居宅介護支援 | 84.6% |
訪問系、施設系(通所型)、居宅介護支援施設は8割を大きく超える結果となり、ロボットの導入が進んでいない状況です。施設系(入所型)では導入が進んでいるとはいえ、それでも4割に満たない状況にあり、今後の普及が期待されるところです。
介護支援ロボットの種類
介護支援ロボットに関して種類別の特徴や用途を解説します。
介護支援型ロボット
介護支援型ロボットは、介護者の身体的な負荷を軽減します。介護では大きな力が必要となったり、中腰といった無理な姿勢をとったりする場面も少なくありません。介護支援型ロボットがあれば移乗や入浴、排泄など、介護者にとって負荷が大きい作業のアシストが可能です。
自立支援型ロボット
自立支援型ロボットは要介護者の動作を助け、できる限り自立した生活が送れるようアシストします。たとえば、膝の痛みによって歩行が困難なら、膝に装着するタイプの自立支援型ロボットによって歩けるようになる場合があります。自力でできることが増えれば自信や自己肯定感につながり、心理的な負荷を軽減可能です。
コミュニケーション型・セキュリティ型ロボット
コミュニケーション機能とセキュリティ機能の両方が搭載された介護支援ロボットも登場しています。コミュニケーション型ロボットには、会話や歌、ダンスなどの機能が搭載されている点が特徴です。ロボットとコミュニケーションがとれれば、孤独感を軽減しつつ気分を和らげられるでしょう。セキュリティ型ロボットには見守り機能が搭載されており、異常の検知が可能です。
介護支援ロボットの重点分野
ロボット技術の介護利用における重点分野とは、厚生労働省と経済産業省が定めた項目です。具体的な内容について、以下で解説します。
ロボット技術の介護利用における重点分野
厚生労働省と経済産業省は連携し、介護ロボットの開発支援や介護現場での実証実験を行い、現場レベルで活用できるようにするために取り組んでいます。介護支援ロボットにおける重点分野として6分野13項目を定め、現場のニーズを捉えつつ、要介護者と介護者の双方にとって利用価値の高いロボットの開発が進められています。
移動支援
・移動支援
移動支援は要介護者の歩行をアシストする分野です。屋外用のものは要介護者の外出を支援します。屋内用のものは室内での移動や立ち座り、トイレでの姿勢保持や往復などのアシストが可能です。装着型のものもあり、転倒予防や歩行補助に役立ちます。
・移乗支援
移乗支援は介護者のパワーアシストを行う分野です。装着型と非装着型の2種類があり、装着型は介護者がロボットスーツなどを身につけて介助をするタイプです。非装着型は、要介護者を抱え上げる動作をロボットがアシストします。
・排泄支援
排泄支援は要介護者のトイレに関する分野です。適切なタイミングで要介護者をトイレに誘導するものや、トイレ内での衣類の着脱をアシストするものなどがあります。設置位置を調整できるトイレもあり、排泄物の処理にロボット技術が用いられています。
・見守り・コミュニケーション
見守り・コミュニケーションは、要介護者を見守るとともに、コミュニケーションの活性化につなげることに重点を置いた分野です。施設型のものはセンサーや通信機能が搭載され、同時に複数の要介護者を見守れます。在宅型のものは在宅介護で使用され、通信機能や転倒検知センサーが搭載されています。生活支援型のものは会話や声かけといったコミュニケーションが可能です。
・入浴支援
入浴支援は要介護者のお風呂に関する分野です。入浴に関する動作についてロボット技術を用いてアシストします。要介護者がお風呂に入る際は転倒のリスクが高いため、介護支援ロボットによるアシストが重要となります。
・介護業務支援
介護業務支援は介護に関する情報収集の分野です。ロボット技術によって介護に伴う情報を集めて蓄積し、さらなる介護に活用します。
介護支援ロボットの導入メリット
介護支援ロボットを導入する主なメリットを解説します。
介護者の負担軽減
介護支援ロボットの導入によって介護者の負担軽減につながります。介護では中腰になったり、大きな力を必要としたりする作業が多く、介護者の身体的な負荷が大きいといえるでしょう。介護支援ロボットによって体力の消耗が減らせれば、同時に精神的な負荷も軽減できます。
介護作業の効率化
介護作業が効率化される点も介護支援ロボットを導入するメリットです。現場では介護にかかる時間や手間の多さが課題となっています。介護を効率的に進められれば時間や手間を軽減できるでしょう。対応がスピーディになればミスが減り、余計な作業が生じにくくなります。介護に必要な時間を減らせれば、他の作業に時間を割くことが可能です。
要介護者の心理的負担の軽減
介護支援ロボットを導入すれば介護者だけでなく、要介護者の心理的な負担も減らせます。介護してくれている人に苦労をかけていることについて、心を痛めている要介護者は少なくありません。介護支援ロボットの活用によって、要介護者が自力でできることが増やせます。また、介護者の労力が減るため、要介護者が気軽にサポートを受けやすくなるでしょう。
介護支援ロボットの導入デメリット
介護支援ロボットを導入する主なデメリットを解説します。
操作に慣れるまで時間がかかる
介護支援ロボットを導入してもすぐには利用できず、まずは操作方法を学ぶ必要があるでしょう。運用に関する研修や操作の練習時間を確保するなど、一時的とはいえ介護者の負荷が増えてしまう点はデメリットといえます。
導入コストが高額になりやすい
高額な介護ロボットは導入に数百万円もかかります。予算に余裕がない施設では導入が難しいでしょう。ただし、高齢化が進むなかで介護支援ロボットが大量生産されれば、安く導入できるようになる可能性があります。
設置スペースが必要
介護支援ロボットを導入するには設置スペースを確保しなくてはなりなせん。小型のロボットは場所をとらないものの、たとえば非装着型の移乗支援ロボットは大型で広い設置場所が必要です。機器導入の予算があっても、場所の制約から導入できない場合があります。
介護支援ロボット導入の手順
介護支援ロボットを導入する際の手順を解説します。
1.現状の問題を洗い出す
まずは介護における現状の問題を洗い出しましょう。介護の現場で解決したいと感じる課題をリストアップします。次に課題解消のためには、どのような介護支援ロボットが必要か検討してください。課題に優先順位をつけておけば、より必要性が高い介護支援ロボットが分かります。
2.介護支援ロボット導入の目的を明確化する
介護支援ロボットを導入する際は、事前に目的を明確化しておくことが大切です。目的がはっきりしていないと、予算をかけて介護支援ロボットを導入しても、思ったような効果が発揮されない可能性があります。たとえば、介護における室内での移動の負荷が大きいなら、屋内用の移動支援のロボットが適しているでしょう。
3.介護支援ロボットの運用
現状の問題が把握でき、課題解決のための介護支援ロボットが絞り込めたら、いよいよ導入を開始します。運用開始後は、定期的に介護支援ロボットの効果をモニタリングし、運用方法を見直しましょう。運用において改善点がないか常に気を配ることで、より効果的な運用方法が見えてきます。