プロジェクト管理コラム - プロジェクト計画編(3)経験の蓄積
本コラムではプロジェクトマネージャやPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)向けに、プロジェクトを成功させるためのポイントを解説していきます。プロジェクト計画編では、プロジェクト計画のプロセスと、計画時の落とし穴、落とし穴にはまらない方法などを説明します。最終回はプロジェクトにおける経験の蓄積の重要性とその手法についてです。
経験を蓄積することの重要性
経験というのは、通常は人の記憶の中に記録されていきます。その中でよい経験、悪い経験等個人的な主観が入るケースも多々あります。プロジェクトの計画、実施状況、課題、レポート等が、プロジェクトが完了した後は個人のPCやプロジェクトチーム用の共有フォルダに保管されていたらどうでしょう。これでは別プロジェクトにアサインされたプロジェクトマネージャが活用することは困難です。前回までにプロジェクト計画の根拠となるのは経験であることを説明しました。したがって、プロジェクトの経験を組織としてどのように管理していくかが、よりよいプロジェクト計画策定のキーとなるのです。
経験をデータ化し、一元管理するという方法が、その手法の一つです。過去プロジェクトのコストのデータや担当者のコメント、課題等の情報を1つの場所へ集約して管理する。そうすれば、組織のメンバーはツールを使って情報をすぐに引き出して過去の経験を参照出来ます。蓄積された経験を活用するには、このような環境を準備するということが組織には求められます。何もしなければ経験はそのプロジェクトを担当したメンバーだけにしか残りません。そして人は経験したことを忘れますし、会社等の組織ではメンバーは常に入れ替わります。その前にデータとして残しておくことが重要です。経験をデータ化しておけば、それは組織としての「経験値」の蓄積となり、当時の状況をいつでも確認することが可能となるからです。PMO(プロジェクトマネージメントオフィス)等の統括組織においても、統一された客観的なデータを見て判断することにより、組織全体としてよりよいプロジェクト推進につながるでしょう。
ツールの活用
経験をデータとして蓄積する場合、目的に合ったツール(コンピューターシステム)を活用する必要があります。よく利用される表計算ソフトであるExcelは、設計書などのドキュメントからWBS・スケジュール管理、工数やコストの管理、データ分析等プロジェクト管理においても様々なシーンで利用されており、万能ツールとも言えますが、それゆえに目的に対する最適解とはならないケースが多いとも言えます。
特にデータの蓄積・再利用、リアルタイムなデータの共有といった目的においては、「ファイル」に依存するExcelは適切なツールではありません。テンプレートのバージョンが混在して集計できない、ファイルが散在してどれが最新かわからない、他の人に上書きされた、破損して使えないといったことが、「ファイル」管理では日常的に発生します。また、現場では既にプロジェクト管理ツールやコラボレーションツール等の導入が進んでおり、チームごとにそれぞれの業務に合ったツールを選択していることが多いかもしれません。
しかしながら、組織内の他のチームのプロジェクトマネージャや、PMOなどの統括部門や部門長が組織全体のデータを俯瞰したい場合には、それらのツールや保存された情報は利用できないことが多いでしょう。
組織として経験を蓄積し、それを必要に応じて引き出して業務に活用するためには、なるべくデータを一元管理し、データの質(粒度)を揃えておく必要があります。
プロジェクト計画においては、特に工数などの数値的な情報の正確性が重要となりますが、蓄積した数値データを活用するためには、データの質が揃っていなければ意味をなしません。
したがって、組織としてプロジェクトの経験を蓄積し、活用するという目的においては、管理する情報を標準化し、同一の粒度で一元管理することができるツールを選択する必要があります。PPMツールという選択肢
様々なプロジェクトを一元管理し、組織としての「経験値」を蓄積するために適したツールとして、PPMツールという選択肢があります。 PPMとはProject Portfolio Managementの略で、組織内の様々な活動をプロジェクトとして一元管理し、情報を共有して統合的に活用することができるのがPPMツールです。
PPMツールについては「はじめてのPPM」で説明しているのでこちらも参照ください。
PPMツールでは、プロジェクト情報を集約し、俯瞰して管理することができますが、リアルタイムのプロジェクト状況を管理することができるのはもちろん、プロジェクト情報はデータとして蓄積されるため、過去のプロジェクトの情報も自由に引き出すことができます。
常に統一された基準で保管されたプロジェクト情報は組織として貴重な経験の宝箱といえるでしょう。Clarityのご紹介
丸文が提供するプロジェクト・ポートフォリオマネージメントツール(PPMツール)「Clarity」はあらゆるプロジェクトのデータを蓄積し、いつでも参照することが可能です。
また、類似のプロジェクトのみを抽出して傾向を見る等、過去のデータから未来のプロジェクト推進へ役立つデータを管理することが出来ます。プロジェクトの成功パターンをテンプレート化して、組織のプロジェクト管理の標準化、情報粒度の統一等を容易に行うことができます。
さらに、Clarityには強力なレポート作成機能があるため、蓄積したデータを視覚的に活用することができます。またPower BIなどの外部ツールと連携することでより高度な解析を行うことも可能です。
一般的なプロジェクト管理ツールは単体でプロジェクトを管理するために特化しているケースが多く、蓄積された多数のプロジェクトの情報を活用・再利用するにはあまり適していません。
PPMツールであるClarityは、一般的なプロジェクト管理のみならず、計画立案に関わる必要な過去データも一元管理出来るツールであるため、みなさまのあらゆるプロジェクトの経験を現在あるいは未来のプロジェクト計画に生かす、プロジェクト成功への道しるべとなるでしょう。【今後の情報発信について】
今後、具体例な現場のケースを例に、プロジェクトの見える化に関する実践的なコラムを掲載していく予定です。記事公開後にメールでの案内を予定しておりますので、ご興味をお持ちの方は以下のお問い合わせフォームに「Clarityメルマガ配信希望」と記入して送信お願いします。