プロジェクト管理コラム - ステークホルダー管理編(2) ステークホルダーが求めるもの
本コラムではプロジェクトマネージャやPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)向けに、プロジェクトを成功させるためのポイントを解説していきます。ステークホルダー管理編では、ステークホルダー管理とはどんなことをするのか、ステークホルダー管理を行うことでプロジェクトを円滑に進め、成功に導く方法などを説明します。第2回はステークホルダーとの関係を構築するために重要となる、ステークホルダーがプロジェクトマネージャに求めるものとは何なのかについて考えてみましょう。
ステークホルダーが求めるもの
ステークホルダーはプロジェクトの完了に対して一定の成果を求めます。(当然です)
その際に、プロジェクト推進する側(プロジェクトマネージャ側)とステークホルダー側とで環境が異なるため、求めるものが異なるケースが多いでしょう。
例えば、IT会社が製造業の顧客向けにITシステムを提供するプロジェクトでは、最も重要なステークホルダー(発注者)は当然“製造業”の文化(商習慣)におり、プロジェクトマネージャ(受注者)は“IT業界”にいるといった具合です。
この時にステークホルダーの環境とプロジェクト推進チームとの環境の違いをきちんと理解することが重要です。
環境の違いについて、2つのポイントを挙げましょう。
Point 1. 「普通はこうだ」の基準を理解する
身をおく環境が異なると、当然その「普通」の基準(価値観・常識)が異なります。この違いをプロジェクトマネージャが理解せず、自身の常識でプロジェクトを推進すると、後日ステークホルダーから思わぬ要件が飛び出てGAPが生じることがあります。このようなことを避けるためにまずは相手の環境を分析することが役に立つでしょう。
GAPが理解できれば、そのステークホルダーがいつも使っている用語等をコミュニケーション中に用いることで円滑な関係の構築が可能となります。
Point 2. 「わかりやすく」説明する
ステークホルダーは上位経営者やマネージャーであることも多いため、プロジェクトの専門的な内容について理解がおよばないことがあります。その際にプロジェクトマネージャが「こんなことも知らないのか」という気持ちでいるとそれが態度に出てしまい、相手にも伝わってしまうかもしれません。そもそもステークホルダーにとってそんなことはどうでもいいという場合もあるかもしれません。ステークホルダーが最終的にどのような成果を得られるのか、的確に理解できるように相手の基準に合わせて分かりやすく伝えることで、仮にどこかにGAPが生じたとしても理解してもらえる可能性が高まります。
ステークホルダーの視線の先
ステークホルダーが求めているものについては前述の通りですが、さらにその先に何があるのかも見通しておけるとBetterです。
プロジェクトマネージャはプロジェクト完了について責任があり、ステークホルダーはそのプロジェクトの成果について責任があります。
では誰に対してステークホルダーはその責任を果たすのでしょうか?
これをプロジェクトマネージャが理解できていれば、よりプロジェクト推進に役立ちます。
【例:新基幹システムの導入】
プロジェクトマネージャのゴール:
新基幹システムを求められた品質・コスト・期間でリリースすること
⇒ステークホルダーに対する責任
ステークホルダーのゴール:
新基幹システムによって期待される効果を得ること
(例:コスト削減、CRM強化による売上や顧客満足度の向上等)
⇒経営陣や株主に対する責任
上記例において、プロジェクトは終わったもののコスト削減ができていないという状況の場合、プロジェクトマネージャとしてはゴールしていますが、ステークホルダーは目的を達成できていないこととなります。
そうすると、プロジェクト終了後の経営陣の満足度が下がってしまい、プロジェクトマネージャはもちろん、ステークホルダーの評価まで悪くなってしまうかもしれません。
プロジェクトマネージャはステークホルダーが周囲から何を求められているかを念頭にプロジェクト推進することが望まれます。
次回は、プロジェクト推進時のステークホルダーへの状況報告や計画変更が必要になったときの説明等において重要なことを解説します。
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